研究項目A01『超温度場材料創成学のデジタル研究基盤構築』
A01-a班 超温度場デジタルツイン材料科学
A01-b班 超温度場材料インフォマティクス

研究項目A02『超温度場下の結晶成長のその場・精密分析』
A02-a班 超温度場結晶成長マイクロダイナミクス
A02-b班 超温度場格子欠陥アナリシス

研究項目A03『超温度場を活用した超越的材料創成』
A03-a班 超温度場スーパーチタン創成科学
A03-b班 超温度場バイオマテリアル創成科学
A03-c班 超温度場セラミックス材料創成科学

A01-a班「超温度場デジタルツイン科学:プロセスモニタリングとシミュレーションの融合」

3Dプリントにて発生する超温度場での溶融・凝固を、プロセスモニタリングや組織観察およびそれと整合した熱流体力学計算、さらにその計算結果を境界条件に反映したフェーズフィールド(PF)計算により解析し、3DPのデジタルツイン科学を構築し、その実践を行う。具体的には、微細組織形成への超温度場の影響を、最大1000万K/m以上の急峻な温度勾配での結晶成長、液相表面での温度勾配に由来したマランゴニ流など、超温度場特有の溶融・流動・凝固現象を解析する。その結果を3DPプロセスの最適化予測に役立てるとともに、超温度場での材料の挙動の理解のための基礎となる新しい学術的知見として体系化する。

代表者
小泉 雄一郎大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻・教授
分担者
奥川 将行大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻・助教
協力者
澁田 靖東京大学大学院工学系研究科マテリアル工学専攻・教授
協力者
大野 宗一北海道大学大学院工学研究院材料科学部門・教授
協力者
市川 修平大阪大学大学院工学研究科電気電子情報通信工学専攻・助教
協力者
畑中 修平大阪大学超高圧電子顕微鏡センター・技術職員

A01-b班「超温度場材料インフォマティクス:ビッグデータからの法則発見と最適化予測」

材料インフォマティクスを用いて、実験研究とシミュレーション研究の橋渡しをする。具体的には、大別して2つのミッションをもつ。順・逆解析:「所望の特性を発現する結晶組織」、「その組織を創成するプロセス条件」の導出を可能とし、その法則の背後にある物理を解明する。データ同化:第二の役割は、熱流体力学(CtFD)シミュレーションやフェーズフィールド(PF)シミュレーションで必要となる易動度や界面エネルギー等の物性値パラメータをアジョイント法などのデータ同化手法を用いて効率的に決定する。3D観察:組織の特徴量を3D観察結果に基づき定量評価する。

代表
足立 吉隆名古屋大学大学院工学研究科材料デザイン工学専攻・教授
分担
小川 登志男愛知工業大学工学部機械学科・准教授
分担
山中 晃徳東京農工大学大学院工学研究院先端機械システム部門・教授
協力

中田 伸生
東京工業大学物質理工学院 材料系・教授
協力
鈴木 飛鳥名古屋大学物質プロセス工学科・准教授

A02-a班「超温度場結晶成長マイクロダイナミクス:透過X線その場観察」

時間分解の放射光X線イメージングを駆使し、金属粉体へのレーザー照射における急速溶解・急速凝固現象をその場観察することで溶融池スケールでの溶解・凝固挙動(金属粉体の溶融池への取り込まれ方やその影響・凝固速度とその変化)およびレーザー走査に伴う溶融・凝固相間(隣接走査列間・積層間)の相互作用といった「超温度場結晶成長マイクロダイナミクス」を実証的に明らかにする。得られた実証的データを他の計画班(計算科学・材料創成・評価)へと提供し、超温度場におけるシミュレーションの高精度化・計算結果の妥当性検証および欠陥発生メカニズム解明によってネオ3Dプリントへと昇華させる礎とする。

代表
森下 浩平九州大学大学院工学研究院材料工学部門・准教授
協力
上杉 健太朗公益財団法人 高輝度光科学研究センター 散乱・イメージング推進室・主席研究員
協力
安田 秀幸京都大学工学研究科・教授

A02-b班「 超温度場格子欠陥アナリシス:先端分析材料科学 」

3Dプリント(3DP)は、従来にない巨大温度勾配を利用した溶融・凝固プロセスであり、3DP中の結晶成長には未解明な点が多い。本計画班では、先端分析手法を駆使した超温度場格子欠陥アナリシスにより、粉末床溶融結合(PBF)により形成される合金の3次元組織・組成、応力場・歪場、格子欠陥を解明して、3DPプロセスの体系化に資する材料組織学構築を目指す。超高圧電子顕微鏡法による組織解析、中性子回折による応力場・歪場の定量評価、陽電子消滅法による原子空孔濃度定量化を行い、「形態、歪、空孔」の複合的・統一的解析により、PBF-3DPの材料組織学新領域を開拓し、基礎学理を構築する。

代表
佐藤 和久大阪大学超高圧電子顕微鏡センター・准教授
分担
趙 研大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻・准教授
分担
水野 正隆大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻・准教授
協力
安田 弘行大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻・教授

A03-a班「超温度場スーパーチタン創成科学」

ジェットエンジン用材料であるチタン合金の超温度場下での単結晶化および微細粒化による適材適所の特性向上のため、3次元積層造形による結晶成長と相変態挙動を明らかにし、それによる組織制御と特性向上を目指す。特に、レーザー/電子ビームによる溶融・凝固プロセス中に発生する超温度場における組織の微細化を生かした組織形成と、力学特性を向上させた材料創成をめざす。

代表
戸田 佳明物質・材料研究機構構造材料研究拠点接合・造型分野 積層スマート材料グループ・主幹研究員
分担
中野 貴由大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻・教授、
大阪大学異方性カスタム設計・AM研究開発センター・センター長
分担
御手洗 容子東京大学新領域創成科学研究科・教授
分担
松永 哲也構造材料研究拠点 設計・創造分野 計算構造材料グループ 主幹研究員
協力
小笹 良輔大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻・助教

A03-b班「超温度場バイオマテリアル創成科学」

3Dプリント(3DP)が生み出す「超温度場」を駆使して、骨に用いるバイオマテリアルを具体的なターゲットとし、「表面」と「バルク」の両観点から高機能なデバイスを創製するための科学的な取り組みを行う。3DPを用い、(バルク)原子の配列やその方向を緻密に制御するとともに、表面には細胞制御のための形態的・化学的修飾を施し、人工物を介して骨生体機能を人為的に操ることができるバイオマテリアルを獲得する。さらに、生体内でのバイオマテリアルの機能性を評価するための指標を策定する。

代表
石本 卓也富山大学学術研究部都市デザイン学系・教授
分担
上田 正人関西大学化学生命工学部・教授
分担
松垣 あいら大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻・准教授

A03-c班「超温度場セラミックス材料創成科学」

レーザーを加熱源とするセラミックス製造プロセスの確立を目指し、その基礎科学を構築する。特に、部材内部の微構造に由来する局所加熱や部材表面近傍の選択的加熱の結果生じる急峻な温度勾配(=超温度場)を積極的に活用した「超温度場焼結」「超温度場コーティング」について検討を行う。実験データの蓄積によるプロセス現象の定性的理解、さらには、その場観察手法の開発によって、「セラミックス超温度場プロセス科学」を創生する。

代表
木村 禎一ファインセラミックスセンター材料技術研究所・グループ長 主席研究員
分担
吉川 健大阪大学大学院工学研究科マテリアル生産科学専攻・教授
分担
篠田 健太郎産業技術総合研究所先進コーティング技術研究センター・主任研究員
分担
伊藤 暁彦横浜国立大学大学院環境情報研究院人工環境と情報部門・准教授